-曲想に関する言葉-

楽譜には様々な言葉や記号が書かれている。楽譜に閉じ込められた作曲家の思いを、それらの記号や言葉から想像して作品を再現していく過程では、楽譜には書ききれなかった心情、色彩までも探っていき、作曲家と対話することが必要だし、それが音楽をする醍醐味だ。「Umore」は、「気分」「機嫌」「ユーモア」と訳す。音楽の曲想は、すなわち作曲家の気分、演奏家の気分、そして聴き手の気分だ。楽しい曲想も、悲しい曲想も、常に機嫌よく、いい気分でいないと、技術も表現も立ち行かなくなるのが演奏の厳しいところ。そしてどんな曲想でも、聴き手にはいい気分でいてもらえるように演奏しなければならない。

■ espressivo ■

辞書にある「espressione d'amore 」は、「愛の言葉(告白)」。 「espressione triste」は「悲しげな顔つき」。「espressione contenta」は「満足げな表情」。「con espressione」は「感情を込めて、表情豊かに」。この言葉の意味するところには、感情そのものだけでなく、表情、顔つき、言葉など様々な意味合いがある。

■ grazioso ■

「優雅に」と訳すことが多いが、辞書を見ると、「una graziosa fanciulla」は、「かれんな少女」。「un grazioso cappellino」は、「かわいい帽子」。「con movenze graziose」は、「上品な物腰で」などがある。例えば「優雅で上品で繊細な」ものの代表という事で、ベネツィアンレースがあるが、そのような時間をかけた芸術作品を身にまとう高貴な人。このような「音」で、どう「演奏」するか、は、その人の頭の中にあるイメージと、技術から生まれる。生活すべての経験や知識、そして技術は、音色を作る上での想像力に活かされる。