フルート奏者滝沢昌之のウェブサイト/フルート教室/福岡市南区大橋/アコルデ音楽企画

フルートレッスンの行程

入門から専門まで、各々の段階で必要なトレーニングの概要です。拍節感や音程感覚などに重要な、ソルフェージュのレッスンについても簡単に説明しています。

レッスン行程


«入門» = はじめが肝心!

初めてフルートを吹く方は、まず頭部管だけで音を出す練習から始めます。ここで唇と息の使い方を少し学習しますが、何事も最初の一歩が大事なので単純なことでもしっかりマスターします。音が出るだけで楽しいと思える貴重な時期です。

◎使用教材:オリジナルメソッド[フルート上達のための実践的ワークブック] etc.
◎曲:ほたる、かごめかごめ etc.


«初級» = 運指はひととおり覚え、スタッカートやビブラートも習得!

腹式呼吸を覚え、音を支えられるように体を作り始めます。全音域に渡って息やアンブシュアの変化をとらえていきますので、コツがつかめて曲を吹くのが楽しい時期です。姿勢と呼吸法に悪い癖がつかないように注意する時期です。

◎使用教材:Altes1巻、Gariboldei/Etudes mignonnes etc.
◎曲:幻想曲(ライハルト)、歌の翼に(メンデルスゾーン) etc.


«中級» = 指や舌のトレーニング、音楽的な表現が本格的に!

響きのある美しい音色を作るために体を開発しながら、技術を磨き、表現力を高めます。呼吸法と、脱力、緊張のボディーバランス、アンブシュアの柔軟性と息の抵抗感、これらフィジカル面でのコントロールをトレーニングします。様々なタンギングの学習から始まり、替え指も覚え、美しい音色への欲求も増してきます。アーティキュレーションを理解したり跳躍を伴う複雑な音型も増えます。ディナミクレンジが広がり、フレージングや表情を考え練習することが楽しくなる時期です。

◎使用教材:Altes2巻、Koehler/Op.33、Andersen/Op.21、Op.15 etc.
◎曲:アルルの女よりメヌエット(ビゼー)、アンダンテ K.315(モーツァルト) etc.


«上級» = 美しい音色、正確なテクニック、しなやかな表現力に磨きをかけます!

フルートのつきあいも随分長くなり、もうフルートなしの人生は考えられなくなる頃ではないでしょうか。スケールやアルペッジョは暗譜で完璧に演奏でき、指や舌もかなりの精度で仕上がっているはず。なにより、呼吸法が安定し、息の支えや脱力のコツが見えてくる時期で、音程も安定して音色の変化も自在になり、歌うように吹くのがわかって楽しくて仕方ないはずです。ソナタなどの大曲に挑み、入門の頃憧れていた理想にもう一歩!というところかもしれません。同時に、メンタルのコントロールの難しさと対峙する時期でもあります。

◎使用教材:Fuerstenau/Bouquet des tons、Boehm/Op.37 etc.
◎曲:ソナタ(プーランク)、ハンガリー田園幻想曲(ドップラー)、ソナタ全曲(バッハ)、コンチェルティーノ(シャミナーデ) etc.


«超上級・音大受験・専門家» = 苦しい専門の道。でもその先には限りない幸せと楽しみが待ってます。

どんな分野でも、極めようとすれば苦しみは避けられません。プロアスリートやプロ棋士の世界と同様に、アマチュアの時とは全く違ったレベルの音楽の世界で生きていくことになります。この道を選んだ人は、観念して日々の修行に情熱を傾けて前進あるのみ。格段にいい音色、格段にいい技術、格段にいい表情を求めて、頑張りましょう。音色磨きに関しては不断の努力が、神様からのプレゼントにつながります。技術に関しては維持向上に邁進。表現に関しては見聞きしたもの全てが音楽に反映されます。作曲家の意図と異なるパッションだけの演奏ともお別れです。品位、抑制が訴求力を高め、演奏の質を支えます。音楽に寄り添う喜びが身にしみて、幸福を感じることでしょう。フルートアンサンブルの仕事をお願いすることもあります。演奏で仕事をすること、人に教えること、それぞれの難しさについて気づき、プロとして一層高い意識で精進して欲しいと思います。

◎使用教材:(完成度を上げて)あらゆるエチュード
◎曲:モーツァルト、イベール、ニールセン、ライネッケ、ジョリヴェなどの協奏曲他、バロックから現代曲まであらゆる曲


共通使用教材:

◎タファネル/ゴーベール[17のメカニズム日課大練習]
◎モイーズ[ソノリテについて]
◎モイーズ[24の旋律的小練習曲と変奏(初級)]
◎モイーズ[25の旋律的練習曲と変奏(中級)]
◎オリジナルメソッド[フルート上達のための実践的ワークブック]


ソルフェージュは、音楽を学ぶ上で極めて重要で本質的な基礎訓練です。


フルートの練習を頑張るのはもちろん大事なことですが、それだけではなかなか飛躍的な進歩につながりません。

音程が悪い、拍節感がない、といった種々の根本的問題は、フルートの練習だけで克服することは難しいと言えます。技術や感性を発展させるために、それを支える感覚と理論といった、音楽的な基礎能力を鍛えることが必要です。

お弟子さんからの申し出や、またはこちらから提案する場合もありますが、ソルフェージュのレッスンを同時に行うことで、フルートの技術的レッスンの効率が上がり、より演奏が磨かれ、音楽的に表現する礎となります。

ソルフェージュ能力は、大雑把ですが以下の様な項目を体系的なアプローチによって高めていきます。


«読譜» 楽譜から音楽を読み解く力をつけ、初見力、集中力を養う。


1.楽譜の読み方から始まり、カードを使って音符の音名・階名読みをイタリア語、ドイツ語、日本語、英語で覚え、一瞬で音符が読めるようになるまで繰り返し練習。異名同音も理解し、ピアノで、どの音域の、どの鍵盤かを当てられる様に練習。

2.主に高音部譜表(ト音記号)と低音部譜表(ヘ音記号)を中心に、様々な旋律課題を読めるようになる。

3.大譜表や重唱課題、伴奏付き課題を読めるようになる。

4.主にアルト譜表、テノール譜表を、のちにソプラノ譜表、メゾソプラノ譜表、バリトン譜表までトレーニングし、弦楽四重奏やコラールの課題を読み、管弦楽のスコアリーディングと移調の訓練を行う。



«リズム» 体内的時間感覚を磨き、拍節感を養う。呼吸も音楽と呼応するようになる。


1.オリジナルのリズムカードで基本的なリズム読みができるようになる。

2.リズムカードに音列を与え、簡単な伴奏を加えてピアノで弾けるようになる。

3.拍の分割や予備拍と呼吸の概念を理解し、アンサンブル能力を高める。理想のテンポを楽譜から読み取り、正確にテンポを保ち、美しいアゴーギクやディナミクができるようになる。

4.両手両足や歌も交え、様々な複雑なリズム読み、リズム打ちの課題をこなして本質的なリズム感を高める。変拍子や付加リズムを含んだ現代曲(メシアン、ストラビンスキー、武満など)の作品を読める様になる。



«聴音» 絶対音感と相対音感をバランスよく養い、ポリフォニー(多声音楽)的な耳を育てる。


1.ピアノで弾いた旋律を即座に正しい音程で歌えることから始まり、聴きながら記譜する効率的な方法を手ほどき。

2.単旋律の聴音を発展させる。

3.主要三和音の認識ができ、2声部の聴音を発展させる。倚音や刺繍音、掛留音を理解する。

4.2声、3声の対位聴音、4声部の和声聴音を発展させる。同時に和声分析へのアプローチを行う。

5.ハーモニー聴音から和声分析を行い、解決(カデンツ)と終止形や、様々な借用和音と転調を理解する。



«視唱» 音程の訓練とハーモニー感覚、聴く力、和声感や調性感、音楽を読み取る力を養う。


1.ピアノで弾くメロディの断片を、すぐに模倣して歌うことができる。

2.和音構成音、非和声音、転位音、アーティキュレーションやディナミクを意識して歌うことができる。歌の発声とフルートの発声を結びつけて発展させる。

3.半音階、増、減音程、跳躍音程、分散和音、転調を意識して歌うことができる。重唱課題ではハーモニーを感じ、純正律とピタゴラス音律を感じることができる。

4.伴奏付きの課題や弾き歌いで、和声感を感じて歌うことができ、アカペラで初見視唱ができる。簡単なイタリア歌曲やドイツ歌曲を、歌詞を理解し正しい発音とよい発声で音楽的に歌うことができる。



«ピアノ視奏» 耳を鍛え、音楽的感覚を総合的に磨くためにはピアノを弾くのが最も効率的。


1.ピアノの初見視奏の課題を鍵盤を見ずに弾く練習。

2.クンツ作曲の2声カノンを使用し、ポリフォニー(多声音楽)的な耳を発展。

3.全ての調のカデンツを覚え、調性感、和声感を養う。

4.ピアノ曲実作品を練習したり、フルートの実作品のピアノパートを練習し伴奏を経験する。



«楽典・和声» 実作品の中で楽典や和声の知識を活かせるように。


1.音程とその転回、和音とその転回、非和声音の種類の理解。

2.終止の種類、調の関係、転調、調判定、移調の理論と実践。

3.和音記号、バス課題、ソプラノ課題の実践。和声分析の実践。

4.形式を学ぶ。実作品の楽曲分析と創作。